材料
PC(ポリカーボネート)コード板:樹脂コード板が向く用途

PC(ポリカーボネート)コード板は軽く、割れにくく、低コストで、大量生産に適しています。しかし線膨張係数はソーダライムガラスの約7~8倍で、耐熱性と精度もガラスには及びません。本稿では計算例を用いてPCコード板の長所と短所、そして向く用途・向かない用途を説明します。
プリンタの小型エンコーダを分解すると、薄くて軽い樹脂製のコード板がよく見つかります。ガラスコード板のように落下を恐れず、価格も安いのに、高精度サーボモータではほとんど見かけません。PCコード板がどこに向くかは、材料そのものの性質を見れば分かります。

PCコード板とは
PCとはポリカーボネートのことで、透明で靭性の高いエンジニアリングプラスチックです。PCコード板の多くは透過型で、基材が光を通し、コード板上のパターンが光を遮ります。読取り原理はガラスコード板と同じです。
長所:軽い、落下に強い、安い
- 軽い:樹脂はガラスより軽く、コード板の慣性モーメントが小さいため、小型モータや低出力機器に有利です。
- 割れにくい:PCは靭性があり、落下や衝撃で割れたりチッピングしたりしにくい(図1上段)。輸送や組立時の損失も少なくなります。
- 低コスト:大量・低コストの生産方式に適し、単価の面で有利です。
短所1:熱膨張が大きい
PCの線膨張係数は約65~70 ×10⁻⁶/K、ソーダライムガラスは約9、ホウケイ酸ガラスは約3.3です。60 K上昇したときの半径20 mmにおける半径変化は次のとおりです。
| 材料 | 半径変化 |
|---|---|
| ホウケイ酸ガラス | 約4.0 μm |
| ソーダライムガラス | 約10.8 μm |
| ステンレス鋼 | 約19.2 μm |
| PC(70として計算) | 約84 μm |
コード板が均一に膨張する場合、目盛線の角度位置は変わりません。問題は別のところにあります。
- ハブや軸と膨張量が異なる。 コード板をアルミハブに半径5 mmの位置で接着したとします。アルミの線膨張係数は約23で、60 K上昇時の両者の半径差は約 (70 − 23) × 10⁻⁶ × 5 mm × 60 ≈ 14 μm です。この差は接着層が受け持ち、冷熱サイクルを繰り返すと応力、接着層のすべり、偏心の変化を招くおそれがあります。
- トラック全体が外側へ移動する。 60 K上昇すると、半径20 mmのトラックは約84 μm外側へ移動します。読取りヘッドは動かないため、もともと約84 μm内側にあった部分を読むことになります。ピッチは依然 2πr ÷ N なのでインデックススケールとの不整合は生じませんが、トラックが狭い場合や、複数トラックが並ぶアブソリュートコード板では、径方向にこの分の余裕を確保する必要があります。
- 不均一に膨張する。 射出成形の収縮が不均一な場合、ハブに拘束される場合、内外の温度差が大きい場合には、場所ごとに膨張量が異なり、このとき初めて目盛線の角度が実際にずれます。
短所2:耐熱性、精度、表面
- 耐熱性:PCの軟化温度はガラスよりはるかに低く、長期使用温度は具体的な材料ごとに確認が必要です。高温の熱源の近くには適しません。
- 精度とスリット数:材料の寸法安定性がガラスに劣り、わずかに吸水もするため、PCコード板は一般にスリット数が少なくピッチが大きい用途に使われます。ピッチが大きいほど、同じ不均一変形がピッチに占める割合は小さくなり、影響も小さくなります。
- 表面:PCの表面は比較的柔らかく傷つきやすいほか、アセトンなど一部の有機溶剤はPC表面を白化させたり割れさせたりします。清掃前に溶剤が適合するか確認してください。
向く用途
| 用途の特徴 | PCコード板 | ガラスコード板 |
|---|---|---|
| コスト重視、大量生産 | 適する | コストが高め |
| 落下・衝撃のリスクあり | 適する | 保護に注意が必要 |
| 温度変化が大きく高精度が必要 | あまり適さない | 適する |
| スリット数が多く、ピッチが小さい | 制約あり | 適する |
典型例はプリンタです。キャリッジにはコードストリップ、紙送りにはコードホイールが使われ、多くは樹脂基材です。そのほか、コスト重視で分解能要求が高くないモータの速度検出や位置決めでも、PCコード板がよく検討されます。
まとめ
PCコード板の長所は軽く、割れにくく、低コストであること、短所は熱膨張が大きく、耐熱性と精度がガラスに劣ることです。スリット数が少なく、温度変化が小さく、コスト重視の用途には適していますが、高分解能・高精度、あるいは使用温度が高い用途ではガラスまたは金属コード板を優先して検討してください。
中国語原文記事の翻訳 (0015). ENC7 コード板メーカー(お問い合わせ) · 技術記事 · https://enc7.com
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