信号トラブル事例集
症状:リサージュ円の中心が角度とともに動く——1回転で変わる偏置の切り分け

リサージュ中心が1回転のあいだに動くと静的補正は無効で、自己校正にも残差が残る。本記事では角度更新の自己校正残差比x/√(1 + x²)、x = 2π·k·M_p/Nを導き、滑らかな動きは約9割抑えられ数度幅の局所霧斑はほぼそのまま残ること、Z区分で中心をフィットして軌跡を描く定位と均一性指標の提案を示す。
前稿の偏置は定数で、1回の補正で消える。より厄介なのは、コード板をゆっくり回すとリサージュ円の中心が角度とともに動き、1周で元に戻ること。偏置が角度で変わるので、出荷時の静的補正はある角度にしか効かず、オンライン自己校正も「追従」が必要で、追い切れない部分が残差になる。本記事は3問に答える。なぜ偏置が角度で変わるか。軌跡を測りコード板上の位置に定位する方法。自己校正が追える速さ、コード板均一性に何を課すか。

なぜ偏置が角度とともに変わるか
偏置は0°と180°の2路が見る直流が違うことから来る。2つの検出エリアはコード板上の異なる位置を見るので、円周方向の不均一はすべて角度依存の偏置になる。接線方向の場間隔をd、透光部透過率が弧長sに沿って緩やかに変わるとき
ε(φ) ≈ −(d/(2M)) · (1/D)·dD/ds
Mは変調度、Dは直流。透過率が1回転にu・k回うねるとき偏置振幅は約d·u·k/(2M·r)。
2つの計算例(仮定):d = 1 mm、r = 20 mm、M = 0.5、透過率が1回転に緩やかに5%うねる → εは約0.25%だけ。1区画場を覆う透過率5%低い局所霧斑 → 約5%の偏置。緩変不均一の影響は限られ、局所急変が主矛盾。
よくある起源:
- 膜層またはOD不均一:クロム漏れや透光部残膜が円周で変わる。
- 局所霧化:洗浄残留、接着剤ミスト、指紋。透過率の局所低下と散乱。
- 反射式コード板の背景:非反射部の反射率や表面状態が円周で不一致。コード板傾きで反射光斑も1回転に1回揺れる。
- ハブ縁の反射:ハブ・圧環のねじ頭・切欠・段差がコード板と回り、ある角度で一方の路に光を跳ね返す。
同一窓内で位相を1周期未満に交互配列したアレイはこの種の不均一に鈍感。区画検出エリア構造ははるかに敏感。
定位:Z区分で中心をフィットし軌跡を描く
- 取得:固定低速・等速、直流結合でA・B・Zを同時に。各信号周期20点以上、連続1回転以上。
- 区分:atan2で位相を展開し、位相が2π増えるごとに1セグメント=1信号周期。Zを機械角ゼロに。
- 中心:各セグメント内のA・Bを平均。全周期平均は高調波・振幅差・位相差の影響を受けず、その周期の中心。雑音が大きいときはK周期ごとに最小二乗円フィットし、複数回転をZ同期平均。
- 作図:(ε_A, ε_B)のA-B平面軌跡と、ε_A・ε_Bの角度曲線。
読み方:滑らかな閉じた小環で1回転1〜2回なら膜層・OD・反射背景の緩変、またはハブ偏心による反射変化。固定角で急に飛び出す折れ線環は局所霧斑やハブ特徴。区画検出では霧斑がA+・B+・A−・B−を順に通過し、偏置が−A・−B・+A・+Bへ順に寄って小四角環になる(図1)。中心が角度で動かず一箇所に偏っているだけなら読取りヘッド側。角度が分かったらZを基準に顕微鏡または暗視野でその透光部を確認。
偏置変化率と自己校正の時定数
自己校正が各信号周期で更新し、記憶が約M_p周期とする。
ε̂_m = ε̂_(m−1) + (ε_m − ε̂_(m−1)) / M_p
緩変ではローパスフィルタのように働き、残差≈記憶長×1周期あたりの偏置変化。1回転にk回の偏置変化に対し
x = 2π·k·M_p / N
残差と元変化の比は約x/√(1 + x²)、Nは線数。2048線での離散漸化の正確値:
| 記憶 M_p | k = 1 | k = 2 | k = 8 | k = 64 |
|---|---|---|---|---|
| 8周期 | 2.1% | 4.3% | 17% | 77% |
| 32周期 | 9.5% | 19% | 60% | 97% |
| 128周期 | 36% | 61% | 95% | 99.5% |
数度幅の局所霧斑は1回転に数十回の変化に相当し、妥当な記憶長では追いつけない(図2)。図3の例ではM_p = 32のとき滑らかな動きの残差ピーク約0.23%(2048線で約0.23″)、霧斑部約2.1%でほぼそのまま残る。
角度更新ならxは回転数に依らない。固定時定数τで更新するとx = k·ω·τが回転数とともに増える。τ = 1 ms、k = 1で300 r/minの残差約3%、3000 r/minで約30%。「低速は良く高速は悪い」誤差はまず自己校正の更新方式を確認。M_pを無限に短くもできない。1周期未満では楕円フィットが病的になり、短すぎる記憶は雑音や高調波誤差を偏置として「校正」してしまう。


均一性指標の提案
前稿で精度配分した偏置許容残差をε_r、自己校正記憶をM_pとすると、コード板と組付けによる偏置変化は次を満たす(例示の考え方)。
- 緩変部:1回転k回の偏置変化振幅ε_k ≤ ε_r·√(1 + x²)/x。小さいxでは約ε_r·N/(2π·k·M_p)。2048線、M_p = 32、ε_r = 0.5%でk = 1は約5.1%、k = 2は約2.6%——一般に達成しやすい。
- 局所急変:自己校正はほぼ無効。局所偏置の突起はε_rで直接制限。区画検出、M = 0.5、ε_r = 0.5%なら1検出エリア内の透過率局所差は約2M·ε_r = 0.5%未満。肉眼で見えない霧化でも超えることがある。
- コード板検査:透光部透過率をコード道に沿い2尺度で評価。mm級の局所うねりと全周緩変に別限値。位相交互配列の読取りヘッドは局所限値を緩められる。
- 組付け:読取り域近くのハブ・圧環表面を黒化または非反射に。ねじ頭・切欠は読取り域から遠ざける。
設計上のポイント
- 中心が角度とともに動くのは偏置が位置の関数である証拠。静的補正は無効。補正の前に軌跡を測る。
- 各信号周期でA・Bを平均すれば中心。Z区分と複数回転同期平均で信頼できる軌跡が描ける。
- 滑らかな小環は膜層・OD・反射背景の緩変。固定角の折れ線環は局所霧斑とハブ特徴。
- 角度更新の自己校正残差比は約x/√(1 + x²)、x = 2π·k·M_p/Nで回転数に依らない。時間更新の残差は回転数とともに増える。
- 局所急変は追えない。コード板の清浄度と透過率均一性だけが解。区画検出の読取りヘッドはより厳しい。
- 受入検査に透光部透過率の局所均一性を加え、限値は読取りヘッド構成で分ける。
まとめ
偏置が角度とともに動く本質は、2路の検出エリアが見るコード板領域が不均一なこと。Z区分で中心軌跡を描けば緩変不均一と局所霧斑を分け、具体角に定位できる。自己校正は緩変部に有効で残差比は約x/√(1 + x²)、数度幅の局所急変にはほぼ無効。均一性指標は緩変と局所の2尺度を分けて課す。
中国語原文記事の翻訳 (0208). ENC7 コード板メーカー(お問い合わせ) · 技術記事 · https://enc7.com
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