信号トラブル事例集
症状:同一ロットのディスクを組み込むと振幅のばらつきが大きい――ディスクと読取りヘッドの分散分解

同一ロットのディスクを組み込んだ後の振幅ばらつきが大きくても、ディスクが原因とは限らない。本稿はばらつきをディスク側・読取りヘッド側・組立側に分解する。デューティ比50%付近では約1%の変化にとどまるが、DC和による定光量制御では約10%に達し、ギャップはさらに大きいことが多い。交差試験と分散成分の計算法、推定精度、ディスク均一性仕様の提案を示す。
あるロットのディスクをエンコーダに組み込んだところ、信号振幅が0.85 Vppから1.2 Vppまでばらついた。生産ラインの最初の反応はたいてい「このロットのディスクは不揃いだ」である。しかし一つの振幅は、ディスク・読取りヘッド・組立の三者の共同作用の結果である。ディスクの線幅、遮光性、清浄度、読取りヘッドの光源とゲイン、組立時のギャップと芯出し。三者を切り分けなければ、ディスクを替えても読取りヘッドを替えても徒労に終わりかねない。本稿ではまず各側の大きさを見積もり、次にディスク×読取りヘッドの交差試験と分散成分の計算法を示し、最後にディスク均一性仕様の決め方を論じる。

各側はどの程度か:まず桁の見積もり
振幅は各因子の積であり、対数をとると各項は和になり、分散も加算される。
σ²(lnA) = σ²_ディスク + σ²_ヘッド + σ²_交互作用 + σ²_組立
相対標準偏差(CV)で表せばよい。小さな量ではlnの標準偏差はCVにほぼ等しい。
ディスク側。 周期のうち透過部が占める割合をDとすると、基本波振幅は ∝ sin(πD) である。D = 0.5ではDに対して一次の感度がない。D = 0.5 ± δ のとき振幅は cos(πδ) ≈ 1 − (πδ)²/2 となる。ピッチ20 μmで線幅が±1 μmずれるとδ = 0.05で、低下は約1.2%にすぎない。
ただしこの結論は、読取りヘッドが光をどう制御するかに依存する。読取りヘッドが四相DCの和で定光量フィードバックを行う場合、DC和 ∝ D が固定され、LED出力が1/Dに従って調整されるため、振幅は ∝ sin(πD)/D となり、D = 0.5での傾きは d(lnA)/dD = π·cot(πD) − 1/D = −2 である。同じ±0.05のずれで振幅は約±10%変化し、しかも線幅が広い(Dが小さい)ほど振幅が大きくなる。同じロットのディスクでも、二種類の読取りヘッドでは均一性の現れ方がまったく異なりうる。
その他のディスク側要因:クロム膜のODが3から2に下がると1%の漏れ光が生じ、振幅は約0.9%下がる。透過部の曇りや粒子は光の一部を均一な背景光に散乱させ、変調度はおおよそ散乱光の割合に比例して低下する。
読取りヘッド側。 定光量フィードバックがない場合、LED光出力のばらつきはそのまま振幅に入る。例では±15%とした。ゲイン抵抗の1%のばらつきは1%として入る。
組立側。 ギャップはよくある大きな項目である。近接場モデルでは相対傾き S = −(πλ/p²)·tan(πλg₀/p²)(本シリーズの面振れの記事を参照)で、p = 20 μm、λ = 0.88 μm、g₀ = 100 μmのとき約−0.57%/μmとなり、ギャップ±10 μmで±5.7%になる。

交差試験:計画と計算
a枚のディスクとb個の読取りヘッドをとり、各組合せをn回完全に組み立て(毎回分解・再組立し、ギャップを再調整)、順序をランダムにし、同じ治具・同じ回転速度・同じ温度で振幅を測定し、y_ijk = lnA とする。最低構成は5 × 5 × 2、合計50回の組立である。
各ディスクの平均をȳ_i、各読取りヘッドの平均をȳ_j、各組合せの平均をȳ_ij、総平均をȳとして、四つの平均平方を求める。
- MS_D = b·n·Σ(ȳ_i − ȳ)² / (a − 1)
- MS_H = a·n·Σ(ȳ_j − ȳ)² / (b − 1)
- MS_DH = n·ΣΣ(ȳ_ij − ȳ_i − ȳ_j + ȳ)² / [(a − 1)(b − 1)]
- MS_E = ΣΣΣ(y_ijk − ȳ_ij)² / [a·b·(n − 1)]
変量効果モデルにより分散成分を求める。
σ²_組立 = MS_E、σ²_交互作用 = (MS_DH − MS_E)/n、σ²_ディスク = (MS_D − MS_DH)/(b·n)、σ²_ヘッド = (MS_H − MS_DH)/(a·n)
結果が負なら0とする。各項の意味:ディスク項はディスク自体(線幅、OD、清浄度)の差、ヘッド項は光源・ゲイン・内部光路の差、交互作用項は「あるディスクがある読取りヘッドでだけ低い」ことで、たとえばトラックの半径位置と読取りヘッドの半径方向オフセットの組合せである。組立項は同じ組合せを繰り返し組み立てたときの差で、主にギャップと芯出しによる。各組合せを一回しか組み立てなければ、交互作用と組立は分離できない。
計算例(シミュレーションデータ、真値を読取りヘッド8%、組立5%、ディスク2%、交互作用1%と仮定):6 × 6 × 2の試験から読取りヘッド8.1%、組立4.9%、ディスク2.1%、交互作用1.1%が求まり、分散の比率はそれぞれ約68%、25%、5%、1%である(図1参照)。全体のばらつきは約9.8%で、そのうちディスクは二十分の一にすぎず、ディスクを替えても問題は解決しない。まず読取りヘッドの光源ランク分けを厳しくするか定光量フィードバックを加え、次にギャップを管理すべきである。
推定精度:小さな成分には別の方法を
交差試験は「どれが主因か」に答えるのは得意だが、小さなディスク成分の推定は信頼性が低い。上記の仮定でシミュレーションを繰り返すと、6 × 6 × 2の方式で推定したディスクCVは10%–90%分位点で0–3.1%となり、約13%の確率でそのまま0と推定される。ディスクを12枚に増やすと区間は約1.0%–2.7%に狭まる。別の方法として、基準読取りヘッドを一つ固定し、定ギャップ治具(再現性0.6%と仮定)を用いて各ディスクを3回組み立てれば、ディスク6枚で1.1%–2.7%の区間が得られ、組立回数は18回で済む(図3参照)。

したがって実際の手順は二段階がよい。まず交差試験で主因がどちら側にあるかを判断し、ディスクの管理が必要と確認できたら、基準読取りヘッドと定ギャップ治具でディスクの受入検査または出荷検査を行う。
ディスク均一性仕様の決め方
- 「基準読取りヘッド+定ギャップ」での相対振幅を直接の指標とする。 たとえば標準ディスクに対して±5%以内(例)とし、測定条件(ギャップ、回転速度、温度)を明記する。
- 線幅またはデューティ比の公差は読取りヘッドの光制御方式に応じて決める。 定光量フィードバックがなければ±0.05の影響は約1%にすぎず緩和できる。DC和で定光量制御する場合は傾きが−2なので、振幅を±4%以内に収めるにはデューティ比を約±0.02に管理する必要がある。
- 遮光性と清浄度には下限を設ける。 ODが3以上なら漏れ光の影響は無視できる。散乱背景は変調度を直接下げるので、読取り領域の粒子や曇りについて検査可能な判定基準を設ける。
- 読取りヘッドの情報をディスク供給者に伝える。 光制御方式、窓のデューティ比、動作ギャップがディスクパラメータの感度を決め、同じ指標でも読取りヘッドが違えば意味が異なる。
技術メモ
- 先に対数をとってから分解すれば、各側の分散が直接加算され、乗法的因子の寄与が一目でわかる。
- デューティ比50%付近では振幅への影響は二次で、±1 μm(p = 20 μm)で約1.2%。ただしDC和による定光量制御では一次となり、約±10%になる。
- ギャップの相対傾きが−0.57%/μm(p = 20 μm、g₀ = 100 μm)のとき、±10 μmの組立公差だけでディスク側の各項の合計を上回る。
- 交差試験では各組合せを最低二回組み立てる。そうしないと交互作用と組立が混ざる。最低構成は5 × 5 × 2。
- 小さなディスク成分は基準読取りヘッドと定ギャップ治具で推定するほうが、交差試験を拡大するよりはるかに安上がりである。
- ディスク均一性仕様は測定条件を明確にした相対振幅を主とし、デューティ比公差は読取りヘッドの光制御方式に応じて決める。
まとめ
同一ロットのディスクを組み込んだ後の振幅ばらつきは、ディスク・読取りヘッド・組立という三つの乗法的因子の合成である。ディスク×読取りヘッド×繰返し組立の交差試験と分散成分により各側の比率を算出でき、計算例では読取りヘッドとギャップが九割以上を占め、ディスクは約5%にすぎない。ディスク側の感度はさらに読取りヘッドの光制御方式に依存するため、均一性仕様は読取りヘッドと合わせて決め、基準読取りヘッドと定ギャップ治具で受入確認すべきである。
中国語原文記事の翻訳 (0225). ENC7 コード板メーカー(お問い合わせ) · 技術記事 · https://enc7.com
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