コード板用語解説

PPR、CPR、LPR:スリット数、パルス数、カウント数の換算の落とし穴

PPR、CPR、LPR:スリット数、パルス数、カウント数の換算の落とし穴

LPRはスリット数、PPRは多くの場合スリット数に等しいものの内挿を含むこともあり、CPRは4逓倍カウントの場合もあれば周期数の場合もあり、内挿分割数にも2通りの書き方があります。本稿ではスリット数 → 信号周期 → PPR → CPRの換算チェーンと3種類の周波数を用いて、定義を1段階取り違えたときのピッチ、帯域幅、受信周波数への影響を計算し、推奨する表記法を示します。

見積依頼書には「10000」と書かれています。コード板メーカーはスリット数として見積もり、読取りヘッドメーカーは4逓倍カウント数としてチップを選び、サーボアンプメーカーはパルス数として分周を設定します。3社ともそれぞれ計算を間違えてはいないのに、合わせると4倍、さらには16倍も食い違います。スリット数、パルス数、カウント数といった言葉は資料によって定義が統一されておらず、単位「P/R」の裏に隠れた係数こそが鍵です。本稿では、コード板のスリット数からコントローラのカウント数までの各段階を一つの掛け算の係数として書き表し、さまざまな読み違いの結果を計算します。

12本のコード板が1回転する模式図:検出窓が1ピッチ通過するごとにA相が矩形波を1周期出力し、A、B合わせて4つのカウントエッジが生じる。LPRの累計は12、PPRの累計は12、CPRの累計は48
図1 12本のコード板が1回転する模式図:検出窓が1ピッチ通過するごとにA相が矩形波を1周期出力し、A、B合わせて4つのカウントエッジが生じる。LPRの累計は12、PPRの累計は12、CPRの累計は48

定義:3つの略語はそれぞれ何を指すか

  • LPR(lines per revolution):コード板のインクリメンタルトラックの1回転あたりの目盛周期数、すなわちスリット数N。暗線1本と透過スリット1つで1周期と数える。
  • PPR(pulses per revolution):通常、各チャネル(たとえばA相)が1回転あたりに出力する矩形波の周期数を指す。内挿なし・幾何光学式読取りではPPR = N、内挿ありではPPR = k·N。4逓倍後のカウントをPPRと呼ぶ資料も少数ある。
  • CPR:多くの資料ではcounts per revolution、すなわち4逓倍デコード後の1回転あたりカウント数4·PPRを指す。cycles per revolution、すなわち1回転あたりの信号周期数を指す資料もある。

したがってPPRは「多くの場合」LPRに等しく、CPRは「多くの場合」LPRの4倍ですが、どちらの「多くの場合」も省略できません。

換算チェーン:段階ごとに一つの係数

LPR = N → 信号周期数 N_s = j·N → PPR = k·N_s → CPR = m·PPR

ここで:

  • j:読取り方式。幾何光学式(タルボ結像を含む)では1ピッチが1信号周期に対応しj = 1、±1次の干渉式では信号周期がピッチの半分でj = 2。r = 20 mm、ピッチ8 μmのコード板は約15708本で、干渉式読取りヘッドと組み合わせると1回転あたり約31416信号周期になる。ユーザーが「31416 PPR」を要求した場合、コード板は15708本でよい。PPRをそのまま31416本として描けば、ピッチは4 μmしかなくなる。
  • k:内挿分割数。1信号周期あたりk周期の矩形波を出力する。
  • m:デコード方式。片エッジカウントでm = 1、A相両エッジでm = 2、A、B 4エッジでm = 4。

角度分解能 = 360°/CPRです。2500本、幾何光学式、内挿なし、4逓倍ではCPR = 10000で、1カウントあたり129.6″です。誤ってPPR = 2500で計算すると518.4″となり、4倍違います。

スリット数からカウント数までの換算チェーンと3種類の周波数:各段階で一つの係数を掛ける。見積依頼書と図面にはそれぞれ明記する必要がある
図2 スリット数からカウント数までの換算チェーンと3種類の周波数:各段階で一つの係数を掛ける。見積依頼書と図面にはそれぞれ明記する必要がある

内挿分割数の2通りの書き方

「内挿」にも2通りの定義があります。

  • ×k:1信号周期あたりA/B矩形波をk周期出力し、4逓倍後は1周期あたり4kカウント。
  • kカウント/周期:1信号周期あたりkカウントで、k/4周期の矩形波に相当。

両者は4倍違います。「2048本 × 1024分割」は、カウント基準では2097152カウント/回転(21ビット)です。1周期あたり1024周期の矩形波と解釈すると、4逓倍後は8388608(23ビット)になり、出力周波数も4倍高くなります。アブソリュートエンコーダでビット数bを表示する場合、1回転あたり2^bカウントで、N_sとの比が1周期あたりのカウント数です。カウント基準で解釈するのが最も間違いにくい方法です。

3種類の周波数:帯域設計はどれで計算するか

回転速度n(r/min)では3つの周波数があります。

  • トラック信号周波数 f_s = N_s·n/60。読取りヘッドのフロントエンド(フォトダイオード、トランスインピーダンスアンプ、コンパレータ)の帯域はこれで設計する。
  • 出力矩形波周波数 f_AB = PPR·n/60。受信側の「最高入力周波数」は通常これを指す。
  • カウントエッジレート f_c = CPR·n/60。カウンタの「最高計数周波数」はこれを指すことがあり、4逓倍では4·f_AB。

受信側の仕様に「最高周波数5 MHz」としか書かれていない場合は、矩形波周波数なのかカウントエッジレートなのかを必ず確認する必要があります。4逓倍では隣接するカウントエッジの公称間隔は1/(4·f_AB)ですが、A/Bの位相差が90°からφずれると、最小間隔は(90° − φ)/(360°·f_AB)に縮みます。f_AB = 1.25 MHzでは公称200 nsですが、φ = 20°では約156 nsしか残らず、受信側の最小エッジ間隔は後者で確認しなければなりません。

定義を1段階取り違えたときの結果

「10000」を例に、読取り半径20 mm、6000 r/min、幾何光学式、4逓倍とします(図3)。

解釈スリット数Nピッチトラック信号周波数矩形波周波数1回転あたりカウント数
CPR(4逓倍カウント)250050.3 μm250 kHz250 kHz10000
誤ってスリット数とした1000012.6 μm1 MHz1 MHz40000
PPR(×4内挿を含む)250050.3 μm250 kHz1 MHz40000

2行目はコード板側の誤りです。ピッチが4分の1に縮み、幾何光学式読取りヘッドのギャップ許容範囲もそれに応じて狭くなり(本ライブラリの図面記載ミスの記事を参照)、フロントエンドの帯域も4倍に上げる必要があり、フォトダイオード容量とトランスインピーダンスアンプの余裕もすべて再計算しなければなりません。3行目は信号チェーン側の誤りです。コード板は変わりませんが、内挿チップの出力周波数とカウントエッジレートがどちらも4倍高くなり、受信側が高速時にカウントを取りこぼすおそれがあります。

内挿の定義を誤ると、結果はさらに分かりにくくなります。2500本で1回転あたり100000カウントを要求する場合、正しくは1周期あたり40カウント、すなわち×10です。これを×40と設定すると、3000 r/minで矩形波周波数は1.25 MHzから5 MHzに、カウントエッジレートは5 MHzから20 MHzになります。低速の調整ではすべて正常で、高速になって初めて問題が出ます。

同じ「10000」の3通りの読み方:スリット数と誤解するとピッチとフロントエンド帯域が変わり、PPRと解釈すると出力周波数とカウント数が変わる(例
図3 同じ「10000」の3通りの読み方:スリット数と誤解するとピッチとフロントエンド帯域が変わり、PPRと解釈すると出力周波数とカウント数が変わる(例)

推奨する表記法

見積依頼書と図面には、4つの数と3つの条件を分けて書くことを推奨します。

  • コード板のスリット数N(1回転あたりの目盛周期数)。コード板図面にのみ記載する。
  • 読取り方式と1回転あたりの信号周期数N_s。
  • 内挿分割数。「1信号周期あたりk周期の矩形波(4kカウント)」と書く。
  • 1回転あたりカウント数CPR。デコード方式を併記する。
  • 条件:最高回転速度、および受信側が許容する最高矩形波周波数と最小エッジ間隔。

例:「インクリメンタルトラックのスリット数2500。幾何光学式、1回転あたり2500信号周期。出力矩形波A、B、1信号周期あたり矩形波1周期。4逓倍後1回転あたり10000カウント。最高6000 r/min、矩形波250 kHz、カウントエッジ1 MHz。」

設計上のポイント

  • コード板図面にはスリット数Nだけを書き、CPRやPPRは書かない。カウント関係のパラメータはエンコーダ仕様に入れる。
  • 換算チェーンN → j·N → k·j·N → m·k·j·Nの各段階の係数をすべて明記する。jは読取り方式で決まり、干渉式では2。
  • 内挿分割数は「1周期あたりk周期の矩形波」か「1周期あたりnカウント」のどちらかに統一し、同じ文書内では一方だけを使う。
  • フロントエンド帯域はトラック信号周波数で設計し、受信側は矩形波周波数と最小エッジ間隔で確認する。両者を混同しない。
  • 単独の「P/R」の数値に出会ったら、スリット数か、矩形波周期か、カウントかをまず確認してから見積もりや設計を行う。
  • 角度分解能は1回転あたりカウント数で計算する。PPRで計算すると4倍違う。

まとめ

LPR、PPR、CPRの間には、読取り方式j、内挿分割数k、デコード方式mという3つの係数があり、どれか一つでも明記されていなければ、数値が2倍、4倍、あるいはそれ以上食い違うおそれがあります。読み違いがコード板側で起きるとピッチとフロントエンド帯域が変わり、信号チェーン側で起きると出力周波数とカウント数が変わります。図面にはスリット数だけを書き、仕様には4つの数と回転速度の条件をすべて書けば、3社が同じ数字で話を合わせられます。


中国語原文記事の翻訳 (0269). ENC7 コード板メーカー(お問い合わせ) · 技術記事 · https://enc7.com

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